2010年4月13日
[ 国内知財情報 ]
著作物の利用について
近年、著作物の利用については、色々と話題になっております。
今回、著作権の利用の概要を説明させていただきます。
1.著作物を利用する際の留意点
他人の著作物を例えば、コピーやインターネット送信などで利用する場合には、一部の例外を除き、権利者の了解を得なければいけません(著作権法第21~28条、63条)。
一般に、利用しようとする者がこの了解を得るには、利用に対する有償、無償を問わず、権利者との契約が必要になります。
2.著作物の利用に関する契約について
著作物の利用に関する契約として代表的なものには、「利用許諾契約」や「著作権譲渡契約」、「出版権設定契約」などがあります。
(a)利用許諾契約について
利用許諾契約は、著作物の利用方法及び条件の範囲(例えば、利用回数や利用時間、利用場所など)を定めて、その範囲内において著作物の利用を許諾する契約です(著63条)。言い換えると、利用者は、許諾を得た範囲内でしか著作物を利用できません。このため、利用者がその範囲を超えて著作物を利用する場合には、再度、権利者と許諾契約を結ぶ必要があります。
(b)著作権譲渡契約について
著作権譲渡契約は、著作権者が著作権を譲受人に譲渡する契約です(著61条)。この契約により、譲受人は、自ら著作権者となって著作物を利用することができます。
なお、著作者に認められる権利には、著作権(著作権法における財産権としての権利)と、著作者人格権(著作権法における著作者の人格的利益を保護する権利)があります(著17条)。このうち譲受人が著作権の譲渡を受けたとしても、著作者人格権については、著作者の一身専属の権利であるため、譲渡を受けることができません(著59条)。従って、譲渡契約を結ぶ際には、著作者人格権の取り扱いについて十分に配慮する必要があります。
(c)出版権設定契約について
出版権設定契約は、著作物を文書又は図画として出版する権利を設定する契約です(著79~88条)。具体的には、例えば、有名な漫画家が書いた漫画を一定期間独占的に出版したいという事情がある場合、第三者が出版を行うことができないように、その漫画を出版することについて独占的な権利を設定する契約を結ぶというものです。
当法人には、弁理士に加え、弁護士も在籍しています。このため、「利用許諾契約」や「著作権譲渡契約」、「出版権設定契約」その他の各種契約の内容のご相談については、弁護士が適切に対応させていただくことも可能です。
なお、第三者への公示的な必要性が高い「著作権譲渡契約」や「出版権設定契約」などについては、文化庁に登録を行うことによって、第三者に対抗することができるとされています。これらの登録に関する代理業も当法人にて承ります。
※著作権法の概要や登録手続きの詳細については、文化庁HPの下記の場所にある「著作権テキスト」や「登録の手引き」をご参照ください。
・著作権テキスト
⇒著作権制度について初心者を対象にわかりやすい解説をしています。
・登録の手引き
⇒登録の手続きの仕方については勿論、登録は何故必要なのかについてもわかりやすく解説しています。
ご不明な点等がございましたら、当法人までお気軽にご相談ください。
弁理士・弁護士 水野健司