2015年8月10日
[ 国内知財情報 ]
プロダクト・バイ・プロセス・クレームの訂正手続について
<背景>
平成27年6月5日になされたプロダクト・バイ・プロセス・クレーム(物の製造方法によりその物の発明を特定するクレーム。以下、「PBPクレーム」といいます。)に関する最高裁判決(平成24年(受)第1204号及び平成24年(受)2658号)において、「物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されている場合において、当該特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号にいう『発明が明確であること』という要件に適合するといえるのは、出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情が存在するときに限られると解するのが相当である」との判示がなされました。これにより、既に許可/特許されているPBPクレームについて、特許法36条6項2号違反を理由とする異議申立や無効審判がなされることが予想されています。
これまでは発明のカテゴリーを変更する訂正(物の発明⇒方法の発明)は認められないと解されてきたため、特許査定時には予測できなかった理由(特許法36条6項2号違反)により、一旦特許されたPBPクレームが後出しじゃんけん的に取消・無効になり得ることが業界内で懸念されていました。
これに対し、特許庁は以下のような指針を示しました。
<特許庁のQ&Aにおいて示された指針の要約>
PBPクレームを物の構造又は特性により特定する訂正や、物の製造方法にする訂正は、「明瞭でない記載の釈明」を目的とする訂正であると認められる。ただし、「実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであってはならない。」という訂正要件を満たす必要がある。特許異議の申立ての訂正請求におけるPBPクレームの取扱いについては、今後、事例の分析を進めつつ、法令に基づき、事案に応じて審判合議体としての判断を審決の中で示していく。
特許庁のQ&Aはこちらをご覧ください。
異議申立 Q4-21参照
http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/sinpan/sinpan2/igi_moushitate_faq.htm
無効審判 Q14参照
http://www.jpo.go.jp/toiawase/faq/pdf/sinpan_q/02.pdf
訂正審判 Q10参照
http://www.jpo.go.jp/toiawase/faq/pdf/sinpan_q/03.pdf