2015年3月27日
[ 国内知財情報 ]
特許異議申し立て制度に関して
平成27年4月1日から特許異議申立制度が施行されます。
特許異議申立ては、他人の特許を消滅させる一つの方法で、特許掲載公報の発行日から6月以内に何人もすることができます(特許法第113条)。
平成15年に旧異議申立制度が廃止された後、他人の特許を消滅させる方法は特許無効審判のみでしたが、特許異議申立制度が復活しました。
つい最近、特許庁HPに「特許異議の申立てQ&A」が掲載されました。
特許庁に寄せられた質問に対する回答をまとめたものですが、わかりやすく説明されています。
http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/sinpan/sinpan2/igi_moushitate_faq.htm
A1-8.には、【特許異議申立制度と無効審判制度との比較】が記載されております。
両制度を比較すると、特許異議申立制度の特徴が理解しやすいです。
◆留意すべき点を何点か記載しておきます。
1.特許異議申立ては、何人もすることができます。
そして、口頭審理が原則の無効審判とは違い、書面審理のみで口頭審理はありません。
これが無効審判との大きな違いです。
★今回の改正に併せて、特許無効審判は「利害関係人に限り請求可能」とする改正がされました。
したがって、素性を隠して他社特許を消滅させることができるのは、特許異議申立てのみとなります。
2.利害関係人が申立人であった場合、申立人側としては特許を潰す4つのチャンスがある。
4つのチャンスとは、
(1)情報提供
(2)特許異議申立て
(3)特許無効審判
(4)訴訟における無効の抗弁
★このうち、(1)は匿名ででき、(2)は何人もできます。
つまり、匿名で情報提供をした後、素性を隠して特許異議申立てを行うことも可能であります。
3.他社の気になる特許を発見した場合には、特許異議申立てによって他社特許が消滅するかもしれません。
平成27年4月1日以後に特許公報が発行された特許に対して異議申立てができます。
★気になる特許を見つけた場合には、是非ご相談ください。
特許を消滅させるための先行技術調査も承ります。
4.特許権者にとっては、現状よりは潰される可能性が高くなります。
特許異議の申立ての審理が特許庁に係属すると、決定取消訴訟係属中も含めて訂正審判を請求できなくなります。
★異議理由がある場合には、特許権者はワンチャンスで訂正を成功させる必要が出てきます。
異議申立てへの適切な対応、そして、適切な訂正を行う上でお役に立ちたいと思います。
異議申立てを受けた場合にも、是非ともご相談ください。