2009年7月16日
[ 国内知財情報 ]
設計事項について
特許出願の審査において、本願発明の構成と、引例に記載された構成とを対比したとき、全く同じではないが、その違いは単なる設計事項であるとして、進歩性等が否定される場合があります。
平成14年(行ケ)646号事件の判決※1は、審決において設計事項であるとした判断に関し、
「・・・そうすると,引用発明の断熱扉の屈曲形状は,横軸回りのモーメントにより開口部を塞いだ状態を維持する形状ではなく,本件発明1の搬出口扉の湾曲形状とは機能,作用を異にするものであるから,引用発明における搬出口扉の屈曲と本件発明1における搬出口扉の湾曲の相違は単なる設計事項にすぎず,引用発明の搬出口扉から本件発明1の湾曲形状の搬出口扉を容易に想到することができるとした本件決定の判断は,誤りであり,この誤りが本件決定の結論に影響することは明らかである。」
と判示しています。
※1
平成14年(行ケ)第646号 特許取消決定取消請求事件 全文
すなわち、上記判決は、単なる部材の形状の違いであっても、その違いによって機能・作用を異にする場合は設計事項とはいえないと判示しています。
この判決に鑑みれば、審査、審判において、構成の違いが設計事項であると認定された場合の反論として、本願発明の構成は引例に記載された構成とは異なる機能・作用を奏することを示すことが有効であると考えられます。
弁理士 毛利大介