2009年7月10日
[ 国内知財情報 ]
早期権利化のための制度紹介(特許における早期審査制度)
1.早期審査制度とは
早期審査制度とは、出願審査の請求がなされた特許出願について、申請により通常の特許出願に対し優先して審査する制度です。審査順番待ち期間は、通常の特許出願で28ヶ月程度(2007年平均)を要していますが、早期審査制度を利用すれば、この期間を短縮させて早期権利化を実現できます。
そして、この早期審査制度には、[審査順番待ち期間の短縮の程度]、[対象となる出願の要件]などの違いに応じて、「早期審査」、「スーパー早期審査」の2種類があります。
以下、これらについて順に説明します。
2.「早期審査」について
<1>審査順番待ち期間の短縮の程度
早期審査の対象となった場合、審査順番待ち期間が申請から2~3ヶ月に短縮されます。
<2>対象となる出願の要件
以下の(1)~(3)の要件をすべて満たした特許出願が早期審査の対象となります。
(1)出願審査の請求がなされていること
(2)以下の(a)~(c)のうち、いずれか1つの条件を満たしていること
(a)中小企業、個人、大学、公的研究機関等の出願
(b)「外国関連出願」であること
(c)「実施関連出願」であること
(3)特許法第42条第1項の規定により取下げとならないものであること
<3>申請手続
早期審査の申請ができるのは、出願人本人及びその代理人に限られ、その申請は、「早期審査に関する事情説明書」を提出することにより行います。
3.「スーパー早期審査」について
<1>審査順番待ち期間の短縮の程度
スーパー早期審査の対象となった場合、審査順番待ち期間が申請から1ヶ月以内に短縮されます。
<2>対象となる出願の要件
以下の(1)~(6)の要件をすべて満たした特許出願がスーパー早期審査の対象となります。
(1)出願審査の請求がなされていること
(2)審査着手前(拒絶理由通知等が到達する前)であること
(3)「外国関連出願」かつ「実施関連出願」であること
(4)スーパー早期審査の申請以降のすべての手続をオンライン手続とする出願であること
(5)国際出願の国内移行出願(DO出願)ではないこと
(6)特許法第42条第1項の規定により取下げとならないものであること
<3>申請手続
スーパー早期審査の申請ができるのは、出願人本人及びその代理人に限られ、その申請は、冒頭に『スーパー早期審査を希望する』と記載した「早期審査に関する事情説明書」を提出することにより行います。
※「早期審査」、「スーパー早期審査」の詳細については、下記の特許庁HPをご参照ください。
特許庁HP > 特許行政サービス一覧 > 審査
要件の内容 | 早期審査 | スーパー早期審査 |
---|---|---|
出願審査の請求 | 要 | 要 |
審査着手前 | 不要 (審査着手後でも可能) | 要 (審査着手後は不可) |
中小企業、個人、大学、公的研究機関等による出願 | 要 (いずれか1以上) | 不要 |
外国関連出願 | 要 | |
実施関連出願 | 要 | |
DO出願でない出願 | 不要 | 要 |
申請以降の手続がオンライン手続 | 不要 | 要 |
42条1項で取下擬制されるものでない出願であること | 要 | 要 |
事情説明書の提出 | 要 | 要 |
弁理士 久納誠司