2020年11月11日
[ 商標・意匠情報 ]
建築物、内装、画像の意匠が日本で初めて登録!
令和2年4月1日から施行されている改正意匠法では、その保護対象が抜本的に見直され、それまでは保護対象とされていなかった建築物、内装、画像の意匠が保護対象となっています。
https://www.jpo.go.jp/system/design/gaiyo/seidogaiyo/isyou_kaisei_2019.html#kaisei
この度、建築物、内装、画像の意匠が初めて意匠登録されたとのニースリリースが、経済産業省のHPに出されていましたのでご案内いたします。
・「建築物、内装の意匠が初めて意匠登録されました」
(経済産業省 ニースリリース 2020年11月2日付)
・「画像の意匠が初めて意匠登録されました」
(経済産業省 ニースリリース 2020年11月9日付)
1. 建築物の意匠
改正前は、意匠の保護対象となる「物品」は、「有体物である動産」を意味することから、不動産である建築物はその保護対象に含まれていませんでしたが、近年、空間のデザインを重視する観点から、企業が店舗の外観や内部の形状等に特徴的な工夫を凝らしてブランド価値を創出し、サービスの提供や製品の販売を行う事例が増えていることから、改正法にて、建築物の意匠が保護対象に含められたものです。
建築物の意匠として、下記が登録されています。
①株式会社ファーストリテイリング 「商業用建築物」(意匠登録第1671773号)
②東日本旅客鉄道株式会社 「駅舎」(意匠登録第1671774号)
①株式会社ファーストリテイリングの意匠は、ユニクロPARK 横浜ベイサイド店の店舗、②東日本旅客鉄道株式会社の意匠は、上野駅公園口駅舎に関するもののようです。
経済産業省HPニースリリース 2020年11月2日付 から引用
2.内装の意匠
今回の改正により、建物の内装も保護されるようになっています。
内装の意匠としては、下記が掲載されています。
①カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 「書店の内装」(意匠登録第1671152号)
②くら寿司株式会社 「回転寿司店の内装」(意匠登録第1671153号)
経済産業省HPニースリリース 2020年11月2日付 から引用
3.画像の意匠
今回の改正以前でも、物品の本来的な機能を発揮できる状態にする際に必要となる操作に使用される画面上に表示された画像(例えば、DVDプレイヤーの再生前の操作画像や携帯電話の通話前の操作画像等)は意匠の保護対象とされていました。ただし、改正前の法律では、物品に記録されず、クラウド上から提供される画像や、例えば、携帯電話のメール送信中の操作画像等の物品がその機能を発揮させている状態の画像や、壁等に投影される画像は保護の対象とはされていませでした。
一方、IoT等の新技術の普及に伴い、機器のGUI等が重要な役割を担うようになってきており、さらに、近年のセンサー技術や投影技術の発展によって、物品に表示されず、壁や人体等に投影される画像が出現し、利用者は場所に関わりなくGUIを出現させ、機器を操作することが可能となっているといった近年の技術動向の変化により、そのような画像についても意匠として登録ができることになっています。
画像の意匠としては、下記が掲載されています。
①株式会社小糸製作所 「車両情報表示用画像」(意匠登録第1672383号)
経済産業省HPニースリリース 2020年11月9日付 から引用
この登録意匠(意匠登録第1672383号)の画像は、画像投影装置付き車両より路面に照射される画像で、走行時もしくは停車時に車両の周辺に照射され、外部から車両の存在を視認しやすくさせたり、運転手に車両周辺の路面の状況を視認しやすくさせたりするもののようです。また、車両が進行方向を変更するときに変更向きに応じて変化して照射されたりもするようです。
なお、今回登録された建築物の意匠、及び内装の意匠は何れも現存する建築物等に関する意匠であるためか、何れも新規性喪失の例外の適用を受けて出願が行われているようです。