2012年3月16日
[ 商標・意匠情報 ]
撥音『ン』と長音『ー』」の差異を有する商標の類否について【審判決に学ぶ商標_その9】
撥音「ン」と長音「ー」は音声学的に類似性が高いため、称呼上類似と判断されて拒絶される可能性が大きいものです。
しかし、全てが拒絶されるものではなく、称呼長、観念、音節、外観等が考慮されて非類似と判断されている例もあります。
次の審決は、当法人で扱った事例で、非類似と判断された例です。
不服2010-28563
「チョコりん」と「チョコリー」
(非類似の理由)2音節風と1音節風の差異がある。
また、他の審決例でも、次に示すような商標がそれぞれ非類似と判断されています。
不服2002-12702
「エコピン」と「エコピー」
(非類似の理由)短い称呼であり、アクセントの位置の差異もある。
不服2004-22540
「パンタロン」(パン・タロン)と「パンタロー」(パン太郎)
(非類似の理由)観念、外観の差異がある。
不服2007-34306
「アリアーヌ」と「アリアンヌ」
(非類似の理由)短い称呼であり、発音方法の差異もある。
異議2007-900145
「フローリン」と「フローリー」(Flory)
(非類似の理由)外観の差異があり、何れも2音節風で差異音がはっきりと聴別できる。
異議2007-900539
「マーボ」と「マンボ」
(非類似の理由)短い称呼であり、観念の差異もある。
このため、撥音「ン」と長音「ー」の差異にすぎなくても、称呼長、観念、音節、外観等に考慮すべき点を有すれば、登録できることもあります。
撥音「ン」と長音「ー」の差異で出願を御検討されている場合には、当法人に御相談下さい。
意匠・商標部 前田一夫
弁理士 小早川俊一郎