2009年6月11日
[ 海外知財情報 ]
特許審査ハイウェイ活用のご案内
日本特許庁とオーストリア特許庁は、平成21年5月19日にウィーンで開催された日オーストリア特許庁長官会合において、特許審査ハイウェイの試行プログラムを本年7月1日より開始することに合意しました。
これにより、日本との間で特許審査ハイウェイの枠組のある国は、アメリカ、韓国、イギリス、ドイツ、デンマーク、フィンランド、ロシア、オーストリア、の8カ国となります。
「特許審査ハイウェイって何?」という方のために、今回はまず、特許審査ハイウェイの概要についてご紹介します。
1.特許審査ハイウェイとは?
特許審査ハイウェイとは、第1国において特許の判断された発明について、第2国において早期に審査を受けることができるようにする枠組みです。
平成18年7月にまず日米間で試行プログラムが開始されました。以降、複数の国に広がっております。
2.特許審査ハイウェイを活用することのメリットは?
対象国での審査待ち期間を短くすることができます。
例えば、日本にした特許出願を優先権主張の基礎として、対象国(アメリカ、韓国、イギリス、ドイツ、デンマーク、フィンランド、ロシア、オーストリア)に特許出願したとします。
優先権主張の基礎となる日本の特許出願について、日本特許庁にて特許査定がなされれば、簡易な手続を経ることによって、対象国における審査が早期に行われるようになります。
日本でひとたび特許になった発明について、対象国にて早期権利化を望めます。
3.特許審査ハイウェイを活用するにあたっての要件は?
対象国において、特許審査ハイウェイにより早期の審査を受けるためには、次の4つの要件を満たす必要があります。
(1)対象国になされた出願が、日本出願を優先権主張の基礎とした出願であること。
(2)優先権主張の基礎となる日本出願に、特許可能と判断された請求項が含まれること。
(3)対象国における出願の全ての請求項が、日本出願の特許可能と判断された請求項に対応していること。
(4)対象国の出願について審査が着手されていないこと。
4.費用は?
日本の代理人及び対象国の現地代理人の手数料が少なくとも発生します(代理人によって金額は異なります)。
弁理士 岩田誠