2009年3月9日
[ 海外知財情報 ]
韓国において全体意匠出願および部分意匠出願する場合の注意点について
以前掲載した記事(※日本において全体意匠出願の後に部分意匠出願する場合の注意点)では、日本での意匠出願に関する情報として、全体意匠の出願後であっても、一定の要件を満たす場合には、後にその部分意匠を出願しても部分意匠について権利取得できる可能性があることを説明しました。
しかし、外国において意匠権を取得する場合、その国の意匠法において日本での「意匠法第3条の2ただし書き」に相当する規定が無い場合には、出願人が同一であるか否かに関わらず、全体意匠と部分意匠とを同日に出願する必要がある点に、注意を要します。
この点に関する具体的な国としては、韓国が挙げられます。
つまり、韓国での意匠出願においては、先に全体意匠を出願し、その後に部分意匠(全体意匠の部分)を出願した場合、出願人が同一であるか否かに関わらず、後の出願(部分意匠出願)は拒絶理由を有することになります。
このため、韓国において全体意匠および部分意匠の両方について権利取得を図るためには、全体意匠出願および部分意匠出願を同日に行う必要があります。
また、日本での意匠出願に基づくパリ優先権主張を伴い韓国での意匠出願を行う場合においても、韓国での審査における判断基準日(優先日)を考慮して、日本での2つの出願(全体意匠出願および部分意匠出願)を同日に行う必要があります。
従いまして、日本のみならず韓国でも意匠権の取得を希望される場合であって、日本での出願に基づくパリ優先権主張を伴い韓国出願を行う場合には、全体意匠のみを出願するのか、あるいは、全体意匠および部分意匠の両方を出願するのかを、日本での出願の前までに判断することが必要になりますので、ご注意下さい。
御不明な点がありましたら、当法人までお問い合わせ下さい。
弁理士 安藤博輝