2009年5月1日
[ 海外知財情報 ]
外国での商標権取得について(欧州共同体商標(CTM))
外国での商標権の取得、とりわけ、欧州の複数国での商標権の取得にあたり、コスト的に有利な「欧州共同体商標」(CTM)について説明します。
まず、商標権の効力が及ぶ範囲は、原則として、商標権を取得した国の領域内に限られます。
つまり、例えば、A国で取得した商標権は、原則として、A国内では効力を有するものの、他の国では効力を有しません。
そのため、もし、複数国での商標の保護を求める場合には、それぞれの国毎に、各国の特許庁(商標庁)に対して商標出願手続を行う必要があります。
ただし、例外として、単一の権利でありながら、複数国で効力を有する商標権が存在します。
その具体例が「欧州共同体商標」(CTM:Community Trade Mark)です。
欧州共同体商標(CTM)は、ヨーロッパ共同体の全加盟国(27ヶ国:2009年4月現在)で効力を有します。
そして、欧州共同体商標(CTM)を利用する場合には、EU加盟国の27ヶ国それぞれに商標出願手続を行う場合に比べて、コストを低く抑えることができます。
また、欧州共同体商標(CTM)の庁費用が、2009年5月から約40%値下げされました。
(なお、実際の出願手続においては、庁費用の他に、現地代理人の作業手数料や当方手数料が必要となりますので、ご注意ください。)
そのため、欧州の複数国において商標権の取得を検討する際には、各国毎に商標出願を行う場合に加えて、欧州共同体商標(CTM)での商標出願も併せて検討することをお奨めします。
不明点や疑問点がありましたら、お問い合わせください。
弁理士 安藤博輝