新着情報

ホーム > 新着情報 > 新着情報(2020年以前) > 知らないと損する!中国における知的財産戦略シリーズ_1


知らないと損する!中国における知的財産戦略シリーズ_1

=早期権利化且つ権利期間最長化の戦略=
発明特許及び実用新案登録の同時出願制度の活用


 中国においては、同一の技術的思想にかかる発明及び考案について、同日に出願し、且つ、それぞれの申請書類に同時出願する旨を明記する限り発明特許及び実用新案登録の同時出願が認められており、この制度を活用することによって、出願から権利化までの時間を短縮しつつ、最長で出願から20年の権利期間を確保できます。
この同時出願の活用については検討する価値が十分にあると考えられます。以下に同時出願のメリット、デメリット及び注意点について順を追って説明させて頂きます。

1.実用新案のメリット

(1)権利化まで
 実用新案登録出願については実体審査がなされないため、特許と比較して、権利化が容易であり、かつ、より早期の権利化が可能です。特許の場合には実体審査請求(期限は優先日から3年以内)から権利取得までに平均で2年から2.5年かかる一方、実用新案の場合には申請から登録までに6ヶ月から1年程度で済みます。

(2)権利の有効性
 日本においては、実用新案の進歩性を否定するにあたり先行技術文献の数に制限はありません。一方、中国においては、実用新案の進歩性の要件は「実質的な特徴及び進歩を有すること」と定められており、一般的には3件以上の先行技術の組み合わせによって進歩性が否定されることはない旨が規定されています(審査指南第四部第六章第四節)。この点に関する限り、中国においては実用新案が無効とされる可能性は日本と比較して低いといえます。

(3)実用新案登録権者の責任
権利行使後に実用新案登録が無効となった場面において権利行使を行った者が損害賠償の責に問われ得る、というような日本に存在する制度は中国においては存在しません。


2.同時出願のメリット

(1)権利取得の可能性
何も権利が残らない、という状況を回避できる可能性が高まります。最終的に特許が認められない場合でも少なくとも実用新案登録は取得できる可能性は高いと考えられるためです。

(2)何らの権利も持たない空白期間を短縮
実用新案登録出願にて早期の権利化が可能であり、特許されるまでの間において実用新案登録を活用することができます。実用新案登録に基づき、早期に、広告宣伝、ライセンス契約、権利行使などの知財戦略を進めることが可能となり得ます。

(3)権利の一本化
最終的に特許されたならば実用新案登録を放棄して特許への一本化が可能です。逆に、特許が不要であれば特許出願を取り下げて実用新案登録に一本化しても良いです。


3.同時出願のデメリット

特許出願費用及び実用新案登録出願費用の両方がかかります。


4.同時出願制度についての注意点

(1)発明特許及び実用新案登録の同時出願制度に適用する発明対象としては、製品の形状、構造及びその組合せに限ります。方法の発明、物質の発明(例え、物質の分子構造、組成、金属組織)等の発明には前記同時出願制度が適用されません。

(2)PCT出願に基づく移行段階においては、同時出願が認めません。中国へ個別に直接出願する場合発明特許と実用新案の同時出願が可能です。


以上、中国における発明特許及び実用新案登録の同時出願制度について、簡単にご紹介させていただきました。貴社の発明を中国で権利化をする際には、ぜひこの制度の活用についてご検討ください。
また、ご不明な点はございましたら、お気軽に当法人までお問い合わせください。

海外知財情報

2021年12月15日 米国の新規性喪失事由の1つである「販売」は秘密の販売を含むと解釈される
2021年2月9日 中国 特許出願の件数の追及から品質の向上への転換を推進
2016年11月21日 イギリスのEU離脱が与える欧州商標制度への影響について
2015年1月5日 韓国特許法改正(2015年1月1日施行)
2014年6月19日 PCT規則改正(2014年7月1日発効)
2013年11月27日 米国特許規則改正(2013年12月18日発効)
2013年11月5日 グローバル特許審査ハイウェイの開始
2013年10月22日 EPC 分割出願ができる時期の制限の撤廃(2014年4月1日発効)
2013年8月2日 韓国特許法・実用新案法改正(2013年7月1日発効(一部2013年3月22日施行済))
2013年7月30日 台湾専利法改正(特許・実用新案) 2013年6月13日施行
2013年7月19日 台湾 連合面接プログラムの要件一部削除
2013年4月10日 オーストラリア商標法・商標規則改正について
2013年4月5日 オーストラリア特許法改正(2013年4月15日発効)
2012年11月14日 台湾専利法改正(2013年1月1日発効)
2012年11月9日 台湾 特許関連出願における連合面接プログラム(2012年10月1日開始)
2012年10月15日 知らないと損する!中国における知的財産戦略シリーズ_2
2012年9月18日 新興国等知財情報データバンクについて
2012年7月3日 フィリピンがマドリッド協定議定書に加盟します
2012年6月7日 知らないと損する!中国における知的財産戦略シリーズ_1
2012年5月30日 米国 QPIDS試行プログラムの開始
2011年7月1日 ルワンダ(RW)がPCTの144番目の加盟国となりました
2011年6月17日 カタール(QA)がPCTの143番目の加盟国となりました
2011年6月14日 メキシコとの特許審査ハイウェイ、7月より試行開始
2011年6月8日 日本-スウェーデン間の特許審査ハイウェイ試行開始
2010年12月24日 ~台湾情報~ 商標の庁料金の改定について
2010年9月30日 日本-スペイン間の特許審査ハイウェイ試行プログラムが2010年10月1日より実施されます
2010年9月21日 全国初?!日露特許審査ハイウェイの申請を行いました
2010年9月15日 模倣品対策(特許庁の資料から)
2010年7月20日 【米国】米国における情報提供
2010年7月10日 イスラエルがマドリッドプロトコルに加盟
2010年7月9日 日本-フィンランド間 特許審査ハイウェイの対象拡大
2010年7月8日 PCT出願の願書の様式の変更について
2010年6月29日 【米国】Bilski事件に関する米国最高裁判決
2010年6月7日 タイ知財局向け手続の期限延長手続
2010年3月16日 台湾における加速審査制度の紹介
2010年1月29日 スーダンがマドリッド協定議定書に加盟します
2010年1月15日 韓国情報 ~手数料納付に関する新たな制度~
2009年12月18日 台湾における法改正情報 ~特許政府料金の改訂(予定)~
2009年12月4日 国際出願の手数料請求書に関する注意点について
2009年12月1日 現地代理人(英国代理人)によるセミナー開催報告
2009年11月12日 リベリアがマドリッド協定議定書に加盟します
2009年9月28日 タイがPCTに加盟します
2009年6月11日 特許審査ハイウェイ活用のご案内
2009年5月1日 外国での商標権取得について(欧州共同体商標(CTM))
2009年3月16日 チリとペルーがPCTに加盟します
2009年3月9日 韓国において全体意匠出願および部分意匠出願する場合の注意点について
2009年2月2日 PCT関連手数料改定について
2009年1月8日 【米国】CAFC(米国連邦巡回控訴裁判所)判示情報(In Re TS Tech)
2008年12月10日 韓国特許庁の出願審査請求料金の値上げ
2008年10月31日 【米国】Bilski事件に関するCAFC(米国連邦巡回控訴裁判所)判決

ページの先頭に戻る

ホーム > 新着情報 > 新着情報(2020年以前) > 知らないと損する!中国における知的財産戦略シリーズ_1