2009年1月8日
[ 海外知財情報 ]
【米国】CAFC(米国連邦巡回控訴裁判所)判示情報(In Re TS Tech)
米国のCAFC(米国連邦巡回控訴裁判所)は、2008年12月29日に、特許侵害訴訟をテキサス州東部地区連邦地方裁判所から別の裁判地に訴訟を移転してほしい旨の被告による要求があった場合に、テキサス州東部地区連邦地方裁判所がその要求を却下した案件について、移転理由を特許侵害訴訟の被告が十分に主張立証した本件においては、移転を認めるべきであるとの命令を出しました。
テキサス州東部地区連邦地方裁判所は、特許侵害訴訟の被告が裁判地移転の申し立てをしても認めることがあまりない上、原告である特許権者に有利な判決を出すことが比較的多い裁判所として知られていますが、今後は、同裁判所において被告となることも多い日本企業も本件を参考にして裁判地移転の申し立てをすれば、認められることが多くなるかもしれません。
なお、本件においては、物的証拠や証拠書類のほとんどが他の管轄地(本件の場合はオハイオ州)に保管されており、重要な証言者が他の管轄地(本件の場合は、オハイオ州、ミシガン州、カナダ)に滞在していることから、移転先の他の管轄地(本件の場合は、オハイオ州南部地区)に裁判を移転する方が適切であると特許侵害訴訟の被告が主張していました。
また、訴訟当事者とテキサス州東部地区に有意義なつながりがないことも被告が主張していました。
CAFCは、このような場合には、移転理由を被告が十分に立証したことになるから、移転要求を認めるべきであると判示しました。
弁理士 石原啓策