2023.03.23 国内知財情報
期間徒過後の救済規定に係る回復要件が緩和されます
1.概要
令和5年4月1日以降、期間徒過後の救済規定に係る回復要件が「正当な理由があること」から「故意によるものでないこと(以下、「故意でない基準」という。)」に緩和されます。また、この回復にかかる請求には回復手数料の納付が必要となります。
※令和5年3月31日以前に手続期限を徒過した案件については、従前どおり「正当な理由があること」が要件となります。
詳しくは、以下をご参照ください。
2.対象となる手続
以下の18種類が対象となります。
【特許】
(1)外国語書面出願の翻訳文の提出(特許法第36条の2)
(2)特許出願等に基づく優先権主張(特許法第41条)
(3)パリ条約の例による優先権主張(特許法第43条の2)
(4)出願審査の請求(特許法第48条の3)
(5)特許料及び割増特許料の追納(特許法第112条の2)
(6)外国語でされた国際特許出願の翻訳文の提出(特許法第184条の4)
(7)国際特許出願における在外者の特許管理人の選任の届出(特許法第184条の11)
【実用新案】
(8)実用新案登録出願等に基づく優先権主張(実用新案法第8条)
(9)パリ条約の例による優先権主張(実用新案法第11条で準用する特許法第43条の2)
(10)実用新案登録料及び割増登録料の追納(実用新案法第33条の2)
(11)外国語でされた国際実用新案登録出願の翻訳文の提出(実用新案法第48条の4)
(12)国際実用新案登録出願における在外者の実用新案管理人の選任の届出(実用新案法第48条の15で準用する特許法第184条の11)
【意匠】
(13)パリ条約の例による優先権主張(意匠法第15条で準用する特許法第43条の2)
(14)意匠登録料及び割増登録料の追納(意匠法第44条の2)
【商標】
(15)商標権の更新登録の申請(商標法第21条)
(16)後期分割登録料及び割増登録料の追納(商標法第41条の3)
(17)防護標章登録に基づく権利の存続期間の更新登録の出願(商標法第65条の3)
(18)書換登録の申請(商標法附則第3条)
3.回復理由書の提出
期間徒過後の手続ができるようになった日から2月以内かつ手続期間の経過後1年以内(商標に関しては6月以内。)(以下、「救済手続期間」という。)に、所定の期間内に行うことができなかった手続をするとともに、手続をすることができなかった理由を記載した回復理由書を提出します。
ただし、優先権の主張については、当該優先権の主張を伴う出願をすべき期間の経過後2月以内にその出願を行う必要があります。
4.回復手数料
回復理由書を提出する際に必要な回復手数料(庁費用)は次のとおりです。
特許:212,100円
実用新案:21,800円
意匠:24,500円
商標:86,400円
5.回復手数料の免除のための手続
手続期間内に手続をすることができなかった理由について、手続をする者の責めに帰することができない理由(以下、不責事由という。)があり、かつ、その事実を証明する書面により不責事由が確認できる場合は、回復手数料が免除されます。
不責事由による救済の申出をする場合、回復理由書の提出と同時に、手続をすることができなかった理由が不責事由に該当することを回復理由書又は上申書に記載して提出します。
本件について、疑問やご質問などがあればお気軽に当法人にお問い合わせください。
弁理士:岩田誠