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2021.06.04 国内知財情報

特許権等の侵害訴訟における第三者意見募集制度の導入

はじめに

特許法、実用新案法、意匠法、及び商標法の改正案が2021年5月14日に可決・成立し、5月21日に公布されました(施行期日:公布日から1年以内の政令で定める日)。
 
 
今回は、この改正法における主な改正項目のうち、特許権等の侵害訴訟における第三者意見募集制度について、さらに詳細を紹介します。
 
 

制度導入の背景

米国では、裁判所が、当事者及び参加人以外の第三者から意見や資料の提出を受ける、アミカスブリーフ制度が設けられています。英国でも、同様の制度が設けられています。
米国の最高裁判所規則(Rule 37)によれば、所定のタイミングで、両当事者の書面による同意を得ることで、アミカスキュリエ(amicus curiae)(※1)がアミカスブリーフ(amicus brief)(※2)を提出できることが規定されています。また、当事者の同意が無い場合であっても、裁判所からの要求・許可があった場合、アミカスブリーフの提出が許容される場合があります。
また、米国の連邦控訴手続規則(Rule 29)、及び連邦巡回控訴裁判所規則(Rule 29)においても、原則当事者の書面による同意又は裁判所の許可を得ればアミカスキュリエはアミカスブリーフを提出することが可能である旨が規定されています。
 
(※1) アミカスキュリエ:ラテン語で「法廷の友人」の意。裁判所に情報又は意見を提出する第三者のことをいう。
(※2) アミカスブリーフ:第三者から裁判所に提出される意見や資料のこと。
 
これに対して、日本で従前より法律上の制度として設けられていたものは、裁判所が技術の専門家等の限られた対象に意見を求めるものであって、広く一般から意見を求めるものではありませんでした。
しかしながら、アップル対サムスン訴訟(知財高判平成26年5月16日(平成25年(ネ)第10043号))においては、当時の現行法の枠組み内で、第三者から意見を募集する試みが行われました。その法廷判断の影響力の大きさを鑑みたものであり、日本の民事訴訟における初めての試みでした。その結果、国内外から多数の意見が寄せられ、裁判所が広い視野に立って適正な判断を行うために、第三者から意見を募集することが有益であることが示されることとなりました。
近年のAI・IoT技術の進展に伴って、特許権等に関する訴訟は、これまで以上に高度化・複雑化することが想定されます。このような状況においては、アップル対サムスン訴訟のように、裁判所が幅広く意見を募集することが好ましい事案も生じ得ると考えられます。その際、現行法の枠組み内での意見募集では、例えば当事者双方の同意を得なければならないなど、制限が生じてしまう懸念があります。
これらを鑑みて、今般の改正法において、裁判所が必要と認めるときに第三者から意見を募集することができる第三者意見募集制度(日本版アミカスブリーフ制度)が盛り込まれました。
 
 

制度の概要

下表のとおり、第三者意見募集制度は、当事者による証拠収集手続きの特例という位置付けとされています。このため、当事者の申立てにより制度の利用が図られることとなっています。
第三者が提出可能な意見の内容については、特に制限は設けられない見込みです。ただし、日本における民事訴訟の原則である弁論主義(※3)に鑑みて、第三者から提出された意見や資料については、その全てが判断の基礎とされるのではなく、当事者が書証として裁判所に提出した書類(以下、「意見書」)のみが判断の基礎とされる見込みです。この、弁論主義に鑑み、“当事者が書証として提出した意見書”のみが判断の基礎とされる点が、米国の制度等と比較して大きく異なる点です。
第三者意見募集制度は、まずは特許権・実用新案権・これらの専用実施権に係る侵害訴訟のみに導入されることとなりました。なお、必要に応じて適用範囲を拡大することも想定されています。
 
(※3) 弁論主義:判決の基礎となる事実に関する資料の収集・提出は当事者の権能・責任であるとする原則。
 
第三者意見募集制度

 

実務上の運用見込み

第三者意見募集制度の施行後の実務としては、当該第三者から意見の内容について弁護士・弁理士が相談を受けたうえで意見書を作成する運用が予想されます。この点に関し、弁理士が意見の内容についての相談を受けられるようにするため、特許法等の改正に併せて弁理士法も改正されました。
 
 

さいごに

第三者意見募集制度により、裁判所による判断の精度が高められ得ることが期待されます。施行後、実際にどのように活用されていくか、引き続き動向を注視していく必要があります。
 
 
弁理士:岩附紘子
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