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「産業上利用することができる発明」、「医薬発明」の改訂について

 「産業上利用することができる発明」、「医薬発明」の審査基準が改訂され、10月23日付けで特許庁HPにて改訂審査基準が公表されました。改訂審査基準は、平成21年11月1日以降に審査される出願に適用されます。

「産業上利用することができる発明」及び「医薬発明」の審査基準改訂について(特許庁HP)

以下に、改訂点のポイントをまとめます。

1.「産業上利用することができる発明」について
(1)「人間を診断する方法」の範囲が変わりました。
 「人間を診断する方法」は、「産業上利用することができる発明」に該当せず、特許として認められないこととなっています。今回、特許として認められやすくなる方向に基準が変わりました。具体的には以下の通りです。

 改訂前は、
 ・医療目的で身体に関する情報を収集する方法
 ・人間の症状等について判断する方法
 が「人間を診断する方法」に該当することとなっていました。

 改訂後は、
 ・医療目的での判断工程を含む方法
 が「人間を診断する方法」に該当することとなります。

 言い換えると、医療目的での診断や検査であっても、医療目的での判断工程を含まない限り、「人間を診断する方法」には該当しません。
 例えば、以下のような方法は、医療目的での判断工程を含まない限り、「人間を診断する方法」には該当しません(つまり、医療目的での判断工程を含まない限り、「産業上利用することができる発明」に該当します)。 
・インフルエンザ検査のための綿棒による口腔粘膜採取方法
・胸部にX線を照射し肺を撮影する方法

※但し、医療目的での判断工程を含まない方法であっても、人間を治療・手術する方法に該当する工程が含まれる場合には、「産業上利用することができる発明」には該当しません。

(2)細胞の分化誘導方法等が、「人間を手術、治療、又は診断する方法」に該当しないことが明記されました。
 細胞の分化誘導方法とは、具体的には、体性幹細胞、iPS(人工多能性幹)細胞、ES(胚性幹)細胞等を、身体を構成する組織や臓器に分化誘導する方法のことです。身体の組織や臓器を修復・再生する再生医療、と言い換えることができます。
 尚、細胞の分化誘導方法はこれまでも特許として認められていました。今回の改訂で特許対象であることが明記された背景には、再生医療技術の国際競争力の強化が国家戦略として重要視されている(少なくとも自民党政権において重要視されていた)という事情があります。
 
(3)「産業上利用することができる発明」に関する事例が追加されました。
 詳しくは、改訂審査基準を参照下さい。

2.「医薬発明」について
(1)新規性判断に関する審査基準が変わりました。
「化合物、適用する疾病が従来と同じであっても、化合物の属性に基づき、特定の用法又は用量で特定の疾病に適用するという医薬用途において相違する場合、新規性は否定されない」点が追加されました。
 この点につき、以下のような事例が挙げられています。

 ぜんそく患者に対して、1μg/kg体重で1日1回経口投与される化合物Aが知られていた。
 化合物Aが、30~40μg/kg体重で3ヶ月に1回経口投与される場合、ぜんそくの症状が長期にわたって軽減され、従来よりも副作用の発現率が低下する。このような場合、後者の用法・用量の化合物Aの発明の新規性は否定されない。

(2)「医薬発明」に関する事例が追加されました。
 詳しくは、改訂審査基準を参照下さい。


弁理士 岩田誠

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