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著作権判例紹介:ロクラクII事件

 ロクラクII事件は、ハードディスクレコーダー 「ロクラクII」2台のうち1台(親機ロクラク)を日本国内に設置し、これに対応するもう1台(子機ロクラク)を利用者に貸与又は譲渡することにより、日本国内で放送されるテレビ番組の視聴を利用者側にて可能とするサービスが違法か否か(複製権の侵害に該当するか否か)が争われた事件です。
 
 東京地裁は違法であるとの判決を下し、知財高裁は違法ではないとの判決を下しました。そして、最高裁にて再度ひっくり返りました。即ち、最高裁は、原判決(知財高裁の判決)を破棄し事件を知財高裁に差し戻しました。

 H19(ワ)17279(東京地裁)、H20(ネ)10055(知財高裁)、H21(受)788(最高裁)の内容についてそれぞれ整理し、添付ファイルのとおりまとめました。

平成19年(ワ)17279号 東京地方裁判所 著作権侵害差止等請求事件 ロクラクII事件
平成20年(ネ)10055号 知財高裁 著作権侵害差止等請求控訴事件,平成20年(ネ)10069号 同附帯控訴事件 ロクラクII事件
平成21年(受)788号 最高裁判所 ロクラクII事件

 ここでは、概要のみ簡単にご紹介します。

[事案の概要]

 放送事業者である上告人(原告、被控訴人)らが、「ロクラクIIビデオデッキレンタル」との名称のサービスを提供する被上告人(被告、控訴人)に対し、上告人らの番組についての複製権(著作権法21条、98条)を侵害しているとして、複製の差し止め、親機の廃棄、及び損害賠償を求めた。


[争点]

 ハードディスクレコーダーである親機ロクラクにて複製が行われていることは争いがないところ、複製の主体が被上告人であるか利用者であるかが争点となった。

 
[判断]

東京地裁 親機ロクラクは、本件サービスを成り立たせる重要な意味を有する複製を行う機能を有する機器であるところ、被告は、本件サービスの目的に基づき、当初、親機ロクラクの設置場所を提供して管理支配することで、日本国外の利用者が格段に利用しやすい仕組みを構築している。
 本件サービスにおいて親機ロクラクの果たす役割からすれば、被告は、本件対象サービスを提供しているものということができ、本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為を管理支配していると認めることができるとともに、それによる利益を得ているものと認められる。
知財高裁 本件サービスにおいては、親機ロクラクが、地上波アナログ放送を正しく受信し、デジタル録画機能やインターネット機能を正しく発揮することが必要不可欠の技術的前提条件となるが、この技術的前提条件の具備を必要とする点は、親機ロクラクを利用者自身が自己管理する場合も全く同様である。
 かかる技術的前提を整備し提供したからといって直ちにその者において受信・録画・送信を行ったものということはできない。
最高裁 複製の主体の判断に当たっては、複製の対象、方法、複製への関与の内容、程度等の諸要素を考慮して、誰が当該著作物の複製をしていると言えるかを判断するのが相当であるところ、上記の場合、サービス提供者は、単に複製を容易にするための環境等を整備しているにとどまらず、その管理、支配下において、放送を受信して複製機器に対して放送番組等に係る情報を入力するという、複製機器を用いた放送番組等の複製の実現における枢要な行為をしており、複製時におけるサービス提供者の上記各行為がなければ、当該サービスの利用者が録画の指示をしても、放送番組等の複製をすることはおよそ不可能なのであり、サービス提供者を複製の主体と言うに十分である。



弁理士 岩田誠

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